広大なオープンスペースを生かしてチャンス量産
一般的には“ボールを握る=試合を支配する”と言われがちだが、必ずしもそうではないのがサッカーの面白いところ。この試合はその最たる例で、金沢の狙いがハマったゲームだった。名古屋はいつもどおりパスサッカーを展開。金沢は守備陣形をコンパクトに保ちつつ、ボールサイドにスライドしていく。
6分、宮崎が自ら得たPKを決めて金沢が先制する。ただ、スコアが動いても名古屋がポゼッションする展開は変わらない。金沢は間延びする局面がありながらも、カウンターからチャンスをうかがう。58分、秋山のゴールで名古屋が1点を返し、ここから一気に畳み掛けるかに思われたが、「点を入れられてしまったけど、そこで持ちこたえた」と佐藤洸一が振り返るように、金沢は崩れなかった。
72分、途中出場した金子が勝ち越し弾を決めると、直後の74分には佐藤洸一がダメ押しゴールを奪い、試合を決定づけた。
名古屋はショートパスを主体に同サイドを攻めていく形で前進を図った。縦にも横にも長いレンジのボールはほとんど存在せず、速い段階で背後を突く意識も乏しい。ゆえに、金沢はボール周辺さえ抑えておけばよかった。名古屋の狭いサッカーなら、はがされてもスライドする距離は比較的短くてすむ。もちろん押し込まれる時間もあったが、ブロックを下げて守備をすることで、攻撃に切り替わった瞬間に広大なオープンスペースを得ることができ、何度もカウンターを繰り出すことに成功した。
金沢は11戦ぶりの白星を挙げ、今季の名古屋戦ダブルを達成。名古屋にとっては自動昇格圏が遠のく、あまりにも手痛い取りこぼしだった。(野中 拓也)