この日、熊本を突き放したゴールは、闘莉王にとってJ1・J2で記録した通算100得点目となるメモリアルゴール。過去に100ゴールを達成しているのは、通算得点数トップの佐藤寿人(名古屋)をはじめ、大久保嘉人(FC東京)、三浦知良(横浜FC)、中山雅史(沼津)、大黒将志(京都)、城彰二、柳沢敦ら、錚々たる名ストライカーたち。キャリアの大半をDFとして過ごしてきた選手が100ゴールの大台に乗せるのは、前代未聞のことである。
しかし、当の本人は大記録達成にもどこ吹く風だ。「そんなこと気にしたことがない。カッコ悪いでしょ。J1で100ゴールなら分かるけど…」。
今季はキャリアハイとなる15ゴールを挙げている。第8節・愛媛戦以降はFWに固定され、京都の攻撃の核を担ってきたが、「一応、DFだからね。いまでもFWをやっているつもりはない」と自分の本分はディフェンスだと強調する。そして、「(京都は)打ち合いができるチームじゃない。オレがFWになっていることでも、それは物語っている」と寂しげにつけ加えた。その諫言は、ベテランCBの得点力に頼らざるを得ないチームへの、素直な思いなのだろう。
それでもやはり、この男のゴール前での破壊力は群を抜いている。100得点目のゴールも圧巻の一撃だった。188cmの植田のマークを無力にしたヘディングに、敵将の池谷監督は「あの滞空時間とヘディングは、もう防ぎようがない」と白旗を上げた。アシストした石櫃は「ちゃんと蹴れば決めてくれる」、布部監督は「彼の存在は大きい」と、“FW闘莉王”への絶対の信頼を口にする。今季初の3連勝にチームを導いたのも、結局は闘莉王のゴール。本人が望むように、闘将が守備に専念する日は、まだまだ訪れることがなさそうだ。(文・川瀬 太補)