苦しみながら開幕5連勝。柏の対策を個で打開
ネルシーニョ監督が率いるチームらしく、柏は“徹底”した戦いを見せた。川崎Fのパスワークを遮断してハイプレスを発動させず、王者は今季初めて無得点で前半を終えることとなった。
まず、車屋と山村が組んだ川崎FのCB、アンカーのジョアン・シミッチを呉屋と江坂の二人でうまく監視。出しどころも封じたことで川崎Fの選手たちの距離感が悪くなった。
また、“即時奪回”を目論む川崎Fに対して無理につなごうとせずに、右サイドのクリスティアーノらを狙ったロングボールで陣地を回復し、ボールの取りどころを絞らせなかった。「自分たちでバランスを崩してセカンドボールを拾えず、狙うところを狙えずに苦しい戦いになった」と鬼木監督。「いい守備をした」とネルシーニョ監督が振り返るとおり、こう着した展開が、川崎F3本、柏1本という前半のシュート数に表れた。
鬼木監督は「交代で勢いを出したい」とハーフタイムに3選手を入れ替え。そのうちの一人が、三笘だった。そしてこの唯一無二のドリブラーが柏のプランを切り裂くこととなる。
50分、三笘がクリスティアーノと高橋峻の間を突破してチャンスメークすると、極めつけは80分だった。塚川からのパスを左サイドの高い位置で受け、高橋峻に1対1を仕掛ける。ぐーんと加速してエリア内深くまで進入し、その折り返しを家長がミートしてゴールへ蹴り込んだ。演出したのは三笘で、仕留めた家長はこれで柏戦直近4試合6得点。「相手のクオリティーにやられた」とはネルシーニョ監督の弁だ。負傷者や、まだ来日できていない外国籍選手もいる柏は、途中交代選手で流れを変えることが叶わず、ゴールにまで至らなかった。
柏はまたも川崎Fに勝つことができず、開幕から1勝3敗と調子が出ない。川崎Fのほうは苦しみながらも5連勝。1得点のみに終わったのは今季初めてのことだったが、守備では組織を崩すことなくウノゼロ勝利を達成してがっちりと首座をキープしている。(文・田中 直希)