現実は厳しかった。以前から「国立だからプレーしたい」U-22代表のウズベキスタン戦について話していた。震災を受け、結果的には遠征になったがそこに水沼の名前は無かった。アジア大会で金メダルを獲得し、10番も背負った。今季の開幕戦となった草津戦でもチームの2得点に絡む好調ぶりを披露した。確かにロンドン五輪世代にあって水沼のポジションはタレントが群雄割拠する激戦区なのは周知の事実である。“サブ組”と称されたアジア大会メンバーと言えど結果は残してみせた。少なからずそれに対する自負もあった。それでも選ばれない現実が待っていた。もしかするとある意味では理不尽ですらあるかもしれない。水沼自身もそのことに悔しさを感じないはずがなかった。だが、これも糧にするしかない。かつては世代の主役だった。そこからの転落を味わい、プライドはかなぐり捨てた。栃木での成長、アジア大会の金メダルも全ては悔しさを成長の糧に変えてみせたからこそ。これしきのことで水沼はめげない。