Practice Report 練習場レポート

[1015号]エルゴラ掲載コラム:千葉が抱えるジレンマ / 杉山文宣

2011/5/26 7:00 0

熊本戦での千葉は、深井・太田の両サイドのプレスに対して坂本・山口の両SBが連動して動いていく場面は皆無だった。

プレスに行かないケースでは原田に精度の高いサイドチェンジを再三許した。つぶしに行けば、SBが連動していないために中盤のサイドにスペースが空き、「フリーでもらえる場面が増えた」と話す片山がサイドチェンジを入れる。中盤のサイドにスペースがあるのは右サイドも同じ。左からの展開を右SBの市村が受けてクロスを上げた。熊本が左SBに2年ぶりに原田を起用した狙いは恐らくこの点だろう。千葉に対しては効果的な左右のユニットだった。

いまの千葉が抱えるジレンマはオーロイだ。もともと、運動量があるタイプではないために前線からのプレスはあまり期待できない。トップ下でオーロイのぶんまでカバーする米倉も「正直、守備の負担は大きい」と常々話している。相手の最終ラインに対してプレスに行くのは実質的には中盤の前3枚。相手のボランチも考えるとケアが難しくなり、後ろが押し上げても最終ラインの裏を突かれる場面が増える。この試合でも前からプレスに行っていれば原田、片山の精度の高いキックで裏を突かれていたはずだ。そう考えればSBが押し上げていけなかったのもある意味で必然だった。

熊本はオーロイという千葉の強みを弱みに変えた。現状の千葉は前からプレスに行けば外されて高いラインの裏を突かれる。行かなければ1トップのオーロイを動かされ、体力を削られるだけでなくゾーン守備のあいまいなグレーゾーンを使われる。負けなかったことはポジティブだが、この試合は他チームにとって格好の教材になってしまうだろう。

(提供元:サッカー専門紙EL GOLAZO)


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