現実をすべて受け止めている。それでもまだ何かが終わったわけではない。可能性がゼロでない限り、本田圭佑は自分を、仲間を、日本代表を信じ続けるという。
「本当にニュートラルな状態で臨んで、その瞬間、瞬間で選手各々が判断してゴールを奪いに行く。中央で攻めるのか、サイドから突破したほうがいいのか。そういう判断ができないと、親善試合では勝てるけど、W杯ではどの相手にも勝つのは難しい。ただ、やっぱり自分自身を信じて、仲間を信じることじゃないですか。いまからみんながスーパーマンになることはできないし、それぞれの個性が180度変わることもない。だからこそ、ここは(信じるという)基本に戻るべき」
冷静に戦い、適正なプレー判断をどれだけ繰り返していけるか。大舞台ではそうした平常心のプレーができずして、勝利はない。試合中はそんなクールな頭をいかに保てるかが重要である。
そして何度も言うが、コロンビア戦、日本は己を信じられるか否か。観念的だが、そこに何か理屈ではない力が働くことだってあるのが、われわれの人生だ。
「奇跡は信じている者にしか訪れない。他人が評価するミラクルと、自分自身が起こしてきたと自負するミラクルがある。もちろん今回の件で起こせるのであれば、それは自他ともに認めるミラクルになる。最後の、本当に最後の1分まであきらめずに戦い抜く。それが、可能性を残す唯一の方法だと思います。戦うことをやめたり、信じることをやめれば、その時点で可能性はゼロになる。戦う限り、絶対にゼロにはならない」
力強い言動で、ここまでチームを、そして世論をも引っ張ってきた。1分1敗。あまりにも本田が語ってきた自信ある態度とはかけ離れた現実が、目の前にある。猜疑心の視線は承知。それでも、本田は最後に静かにこう言った。
「コロンビアに勝つ。その先に行けば、自分が発言してきたことが叶う可能性もゼロじゃない。いまもその信念は曲げるつもりはない。やはりそれがあったからこそ、いまも頑張れる。むしろ、自分が言ってきたことを実践するのはいまだろ、そう自問自答している。当然信じているわけですよ、コロンビアに勝てれば、もしかしたらギリシャもコートジボワールに勝ってくれるんじゃないかと。そこからすべては切り開けると思っている。簡単ではないことも、分かっています」
本田はあがいている。あがいて、あがいて、あがき続けたその先の奇跡を信じて。(西川 結城)