やる時はやる男だ。1ゴール1アシストという結果に「奇跡ですね」と笑ったが、今回の完勝に一役も二役も買ったのが森脇だった。
右サイドからカットインして左足でシュート。利き足とは逆ながら、それは森脇の一つの武器である。ただ、今季は可能性を感じさせながらも、威力と反して精度を欠くことが多かった。一方、今回のシュートは威力こそなかったが、正確にコースを捉えた。「(ナビスコカップ準々決勝の)広島戦ではチャンスがありながら狙い過ぎて入らなかったので、とにかく枠に入るように打った」と森脇。もちろん、シュートコースに選手が重なり、ブラインドになってGKが反応できなかったこともある。
ただ、枠を狙ったからこそ、「ボテボテのシュートでも入る」。チームの2点目も李の動き出しを見逃さなかった森脇のキック精度がもたらしたゴールだった。自身は「たまたま」と言うが、前線の動きを把握し、あのタイミングであの精度のパスを送れるのも森脇の長所だ。
あえて言うならば、今回も守備の面でマークが緩んだりポジショニングを誤ったりするシーンはあった。それが失点に直結することも少なくなく、森脇の大きな課題であることは間違いない。ただ、守備に加えて攻撃でチャンスに絡むことも求められており、それを果たしたことはマイナス面を補って余りある。
前節・大宮戦でもゴールを奪ってインタビューを受けたが、その際にはブーイングを浴びた。今回もゴール裏からは「ブーイングと拍手が半々だった」という。森脇は「メンタル的に弱い部分があるので、(ブーイングされると)2日、3日落ち込む」と冗談めかしたが、もちろん、そのブーイングは悪意ではなく、森脇のキャラクターに応じた愛であるはずだ。そんな選手は世界を見渡してもそうそういない。良いプレーをすればサポーターにブーイングされる。チームが緩めばそれを代表するかのように監督に怒られる。それが森脇だ。そんな唯一無二のキャラクターとプレーで優勝に向けて邁進する。(菊地 正典)