「興味深くて面白い」
もしかしたら、フランス人のヴァイッド・ハリルホジッチ監督の目にも異次元の速さに映ったのかもしれない。10年以来の、A代表。当時、大学生だった永井謙佑にとって、Jリーグの舞台から招集を受けるのは初めてだ。
「素直にうれしい。昨季も終盤は調子も良かったし、あれだけ点を取って呼ばれなかったら…という思いはあったけど、いまも体はキレている」
13年、ベルギーのスタンダール・リエージュに移籍。山道を走ることで筋量が増えたぶん「昔のほうが速かった気がする」と漏らす時期もあったが、13年の8月に期限付き移籍で名古屋に復帰。いまの彼にはそうした面影はない。「昨季終盤は調子も良かったし、いつ呼ばれても大丈夫な状態だった」と振り返るように、90分をトップスピードで走り抜く体力を取り戻し、自己最多の12得点をマーク。「まずは扉を開くことができたから、そこでしっかり結果を残すことが大事」。自分が生かされる選手であることを知るからこそ、永井は気心知れた名古屋に戻り、チームメートに感謝しながら5年越しの扉を開いた。
代表で求められるのもまた、背後を狙っていく姿勢と唯一無二のスピード。「自分の特長を出したい。ほかの人とは違う色を出して頑張りたい」と話す韋駄天は「昨季も結果を出しているし、自信を持ってプレーできる」と代表に向かう。
永井には誰にもマネできない“天賦の才”がある。もちろんスペースがないときに持ち味が消えてしまう現状は自他ともに認める課題だが、そうした現状を前置きした上で、西野監督もこう言って送り出した。
「あのスピードは間違いなくJ屈指。インターナショナルな中でも十分に通用する」
名古屋が誇る韋駄天が、雌伏のときを経て再び日の丸を背負う。(村本 裕太)