道を拓く者~ミスター・トリニータが残したもの、そしてこれから~
チームを優勝へと後押しするための引退発表
―今日がここでの練習の最終日でしたね。
「もう現役としてはここ(大分スポーツクラブ練習場)で練習できないんだなと思うと、寂しい気持ちでいっぱいです。最後は今まで練習していたことをかみ締めながら走っていました。グラウンド整備の方に対しても『いつもきれいにしていただいたおかげで良い練習場だったなあ』とか。僕が一番ここを走ったのではないでしょうか。毎日ここに来るのが当たり前だったので、きっとクラブハウスに来なくなってから、本格的に寂しくなるんでしょうね。新しい生活に慣れていくのも寂しい気がします。そういった現実は、引退を決めたときから覚悟していたし、誰もが通る道ですから、受け止めて、この先に踏み出していかないといけないですよね。でも、1月までは契約があるし、体も動かしたいのでちょくちょく出てこようかな(笑)」
―00年に高卒ルーキーとして加入した当時は、まだクラブハウスがなかったころでした。
「犬飼グラウンドでした。懐かしいです。街の中心部から車で1時間近く離れた、川沿いの何もない練習場を借りて練習していました。あれから大分県に良い環境や素晴らしいスタジアムを作っていただいて、本当に感謝しています。いまの若い選手たちにとってはクラブハウスがあるのは当たり前の状態かもしれないけれど、僕が入ったときは何もありませんでした。それだけトリニータが成長してきたということです」
―大分での一番の思い出は、やはり…。
「08年のナビスコカップ制覇(清水戦・2○0)です。大分にタイトルをもたらすことが目標だったので、…