十分なはずの結果にも反省しきりだった。移籍後初めて公式戦でピッチに立った大久保。試合前日には「完封が最低限の結果なので完封だけなら5.5をつけといてください。目標はそれにプラスして1ゴール2アシストくらいです。それなら8.0くらいつきますよね」と笑いを誘うほどリラックスしていた。そして、試合では格下相手に予想以上の苦戦の中、好セーブを連発し、完封を達成。しかしながら、ミックスゾーンでは前日とは打って変わって神妙な面持ちで「もっと後半はゲームをコントロールできたし、久々の公式戦は思ったよりも難しかった。もっとゲーム慣れしたいなと思いました」と反省の弁が飛び出した。チーム方針で練習試合や試合前々日の紅白戦では第2GKまでしか出場機会が与えられない中、実戦勘の維持は不可能なタスクに近い。その負債は大久保にとって想像以上のものだった。それでも「でも、MOM取るっていうのは言った通りでしたね」と笑顔を締めくくったように前向きな姿勢を崩さなければ道は拓けてくる。それを大久保は証明してみせた。