3月11日、山形がアルウィンに乗り込んで戦う第2節のキックオフ予定時刻は午後1時。予定どおりなら、試合終了間際に2時46分を迎えていることになる。
すべての人にとって特別なこの日に、とりわけ強い思いを抱いてプレーするのが、今季、仙台から期限付きで移籍した中島裕希選手。震災直後は車で寝泊まりしたあと、一時、チームメート朴柱成選手の家に身を寄せて暮らした。その後は支援活動にも取り組んできたが、自らも被災地の現実と向き合うことで、「人間として成長することができました」と語る。
ただし、チーム大躍進の陰で、中島本人は出場20試合中18試合が途中出場と、出場機会は限られた。そこで新境地を求めて山形へ移籍。袖を通すユニフォームは変わったが、被災地・仙台への思いは変わらない。
「家を流された人とかを見てたりしてすごくつらい思いをしていたので、そういった気持ちも背負って、あとは初戦に負けているのでその悔しさもある。いろんな思いが試合にはあるので、絶対に勝って、みなさんにいいところを見せたい。つらい思いをした人たちのためにも、勇気や希望を与えたいと思います」
万感の思いとともに、中島選手が3月11日のピッチに立つ。