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[千葉]エルゴラ掲載コラム:走る2トップがチームに火をつけた/杉山文宣

2012/8/30 0:00 0

 この試合、チームをけん引し、“前へ”の象徴となったのは間違いなく荒田、藤田の2トップである。この二人が、攻守において水戸を執拗に追い詰めた。「裏に抜けて相手を引っ張ることは監督に言われていた」と荒田は愚直に裏への飛び出しを繰り返した。藤田も荒田の動きを把握しながら裏を狙いつつ、引いて受ける作業もこなす。そして、何よりも「アラちゃん(荒田)と2人で守備のスイッチを入れられた」(藤田)。前線からのハイプレスは、ここ数試合チームに欠けていた守備での推進力をチームにもたらした。
 リカルド・ロボの加入でやや出場機会を減らしていた藤田は日頃から「自分が出たら意識するんは守備のスイッチ。勢いが出るような守備をしたい」と話し、荒田も「自分の良さはやっぱり裏への抜け出しだと思うし、そんなにつなぎはうまくないから悩んだ時期もあった」と苦しんでいた。だからこそ、この試合ではシンプルに自分たちの良さを意識した。守備ではこの二人が前線から追い、それに引っ張られるようにチーム全体が連動していた。シンプルな動きに力強さを持つ二人だからこそできた働きだろう。彼らの根気強い作業が相手を押し込む形を作り、2列目の選手たちが生きるスペースを生み出した。得点以上にそういった作業の価値は大きい。
 相手の嫌がる作業。それは派手ではなく地味な作業かもしれない。しかし、それを執拗に繰り返せる荒田と藤田は抜群のコンビだった。

(提供元:サッカー専門紙EL GOLAZO)


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