■群馬
必要なのは要求。細貝のセレモニーに勝利で花を
23日のトレーニングで、武藤監督が選手を集めて話し始めた。「もっと要求し合おう。声を出すことで頭を使うことになる。試合に出ているメンバーがこれでは足りない。誰かがやってくれる、じゃない。みんなはできるから。自分たちの価値を上げていこうよ」。この日、21日に練習試合を行ったサブ組は軽めのリカバリー。前節の先発組中心で90分ほどメニューを消化したが、監督の目にはこのチームに“足りないもの”が見えた。
「静かな雰囲気が練習で見られる。お互いに強く言えるか。そこが足りない部分。サッカーは一人でやるわけではないし、要求は絶対に必要」
今季の群馬に不足していたこと。それをあらためて指摘している。「練習でやっていることが試合につながる。もっと選手間でも要求していきたい」。そう話した中塩ら選手たちも、より“要求し合う意識”を強めたはずだ。
残り3節の時点だが、この徳島戦がホーム最終戦。前々節・千葉戦から継続する4バックで手ごたえもつかんでおり、それを今季ホームリーグ戦2勝目につなげたい。23日には群馬サッカー界のレジェンド・細貝が今季限りでの現役引退を発表。チーム内での彼の存在感は別格だった。先発予定の選手が試合日に不調を訴えてベンチ外となった際、メンバー外の午前練習を終えていた細貝に指揮官自らが電話してベンチ入りを頼むことも。「ナショナルトレセンに入った14歳くらいのころ、それにU-15日本代表の立ち上げから彼を知っている。能力や人間性は素晴らしい。よく頼らせてもらった」(武藤監督)。徳島戦ではセレモニーも予定されており、勝利でその花道を飾りたい。後輩全員の願いだ。(文・田中 直希)
■徳島
圧巻の渡井。鹿沼・児玉と起こす化学反応
真打ち登場。徳島の誇るスペシャルワン、渡井が本領発揮。
前節・藤枝戦(3○0)は、前々節・熊本戦(2○ 1)を踏襲する格好で臨んだ。基本布陣の[3-4-2-1]を土台にしながら、攻撃時に[4-3-3]へ可変する戦術が奏功している。また、可変式がいい悪いではなく、可変した中で攻撃のポジションを取る選手の特長が生きていることがポイント。左WGと化した西野は、アタッカーとして水を得た魚のように生き生きとしており、FW出身の感覚を武器にしてゴール前へ積極的に進入。逆サイドではブラウンノアの走力とスピードが顕著で、攻守ともに戦術の要となる生命線になっている。また、両サイドが横幅68mを最大限に広がるポジションを取ることでスペースが生まれてくるのが中央。鹿沼と児玉がゲームを作りながら、好機創出のラストパスも通していく。
そして、鹿沼と児玉に新たに加わったのが渡井だ。今夏、ポルトガルへの期限付き移籍から復帰。前節は復帰後初先発となった。徳島に復帰するまでの約2カ月間が個人練習だったことも影響し、「少し遅いと言ってしまえば遅いとは思いますが…」(渡井)と吐露したように、コンディションを高めるには時間を要した。しかし、完璧を取り戻した渡井は圧巻の一言。前節は、永木と岩尾がコンディション不良でメンバー外という意味でも中盤に注目が集まったが、結果は鹿沼と児玉との3人で柔軟にポジション変更を繰り返すクリエイティブさも織り交ぜ、相手を凌駕する安定感を発揮。「いいとこ取りしかしてないやろ」(児玉)と揶揄されていたが、おいしいところを持っていくのが渡井の真骨頂だ。(文・柏原 敏)