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病み上がりのヒーロー。「ハルさん」を見たら…

2025/1/14 21:33



 約6万人の国立で最高の輝きを放った。
 先発出場は米子北(鳥取)との1回戦以来。その初戦の翌日にインフルエンザを発症し、準々決勝までベンチから外れた。「マジで終わった…」。診断を受けた瞬間、柴野快仁は復帰をあきらめかけたという。
 チームに合流できたのは準決勝。後半から出場したものの、病み上がりに変わりはない。この決勝でもコンディションは上がり切っておらず、ゲーム体力や試合勘が100%戻っていたわけではなかった。それでも、豊富な運動量を武器に攻守で躍動。ボックス・トゥ・ボックスで3列目からゴール前に顔を出し、31分には黒沢佑晟のクロスに頭で合わせて同点ゴールを決める。ただ、後半は過緊張の影響で、思った以上に体力をすり減らし、体にも負荷がかかっていた。「動けると思ったけど、めっちゃキツかった」。
 試合は1-1から動かず延長戦へ。90分間以上を戦った経験がない柴野にとっては、未知の領域。「いつ足がつっても不思議ではない状態で走っていた」中で、同じボランチの主将・石井陽が戦い続ける姿を見たら、足が動いた。「ハルさんは人柄的にもサボらないし、本当に真面目でやるべきことをやる人」。気持ちでピッチに立ち続け、最後まで戦い抜いた。
 迎えたPK戦は足の状態を考慮されて10人目を託されたが、“最後”に回ってきた。決めれば日本一。先輩の背中に心を動かされた2年生MFは気力で、されど力強く蹴り込んだ。(文・松尾 祐希)

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