■山形
9シーズン在籍した南秀仁のラストマッチ
山形は大きな課題を克服できないまま、最終節を迎えている。前節・磐田戦は終盤に高橋のゴールで引き離したが、アディショナルタイムの終了間際に追いつかれた。磐田は長身選手をゴール前に集め、シンプルにクロス、フィードを送ってきたが、セカンドを拾えず、拾ってもマイボールの時間を作る前にロストするなど、ディフェンディングサードに押し込まれる状況を打開できないままに喫した同点ゴールだった。
これで今季、後半アディショナルタイムの失点数は8。そのうち、直接勝点に響いたのは6。それをすべて勝ち切れていれば、まだ少なくともプレーオフの可能性は残していたはずだが、それを嘆いていても始まらない。昇格の可能性がなくなっても続けてきた、目の前の一戦の勝負にこだわる姿勢を今節も貫きたい。
そしてこの試合は、山形で9シーズンプレーしてきた南秀仁のラストマッチになる。南は26日の記者会見で、数年前から腰のヘルニアに悩まされてきたことを告白。今季は公式戦の出場はなかったが、ここへ来てボランチ陣の相次ぐ離脱もあり、前節でようやく今季初出場となった。土居のチームファーストシュートをお膳立てするなど、ボールを持てば独特の間合いとタイミングとアイディアで誰にも真似できないパスを供給してきた。名前は“しゅうと”だが、自ら点を取るよりも味方に取らせることによろこびを感じてきた。
「自分がいままでやってきたものをすべて出す覚悟でいるし、サッカーというものを楽しみながら自分自身を表現できたらいいなと思う」
南秀仁を勝って送り出したい。それが今節の大きなモチベーションになっている。(文・佐藤 円)
■藤枝
残留を決めた藤枝が「勝ちにこだわる」理由
「ここ2試合は誰もが望んでないサッカーをしているし、今は僕ら以外の人もいろいろな感情が溜まっていると思うので、今度は自分たちのスタイルで相手を圧倒して勝ちたい」(中川創)
前々節・千葉戦と前節・鳥栖戦では、藤枝らしくはない割り切った戦い方で勝点1ずつを獲得し、何とかJ2残留を決めた。全員が完全に意志統一して戦う意識やゴール前の粘り強さといった収穫も得られたが、本来の攻撃サッカーができないというジレンマはあった。だからこそ熱血キャプテンは、最終節に向けて強烈な意気込みを口にした。
ただ、それでも当たって砕けろという戦いはできない。昨季はラスト7試合勝ちなしに終わり大きな反省点となったが、今季は直近7試合勝利がない。最終節も勝てなければ昨季を越える8戦に伸びてしまうため、須藤監督は冷静に戦略を語る。「勝ちにこだわりたい。だから、その確率が高くなるやり方でいきたいと考えている。ここ2戦で守備の強固さは表現できたので、それは継続しながら、攻撃でもわれわれが今季積み上げてきたものを出す。とくに攻め切る、決め切るというところをしっかりと準備して、状況に応じたプレー、意思統一というところも継続していきたい」
今季積み上げてきたものという意味では、攻撃では十分な成果を出せていないので、最後に何としても表現したい。ただ、引いて守るときにゴール前を固めて守り切ることも、今季積み上げたものの一つ。それらを試合の流れや状況に応じて使い分けること、その際に選手の意識がバラバラになることなく意思統一してやるべきことを徹底すること。それらを体現して勝利をつかめれば、「今季の集大成」を見せることにもつながる。(文・前島 芳雄)