■富山
最終戦=大一番は3年連続。勝って天命を待つ
前節・甲府戦を終了間際の決勝点で制して2連勝を飾り、勢いに乗って最終節に臨む。
残留するには勝利が最低条件だ。そのうえで17位・熊本が敗れると順位が入れ替わる。熊本が引き分けだと勝点で並び、総得点で大きく劣っている富山は得失点差で上回るために「3点差」が必要になる。秋田は難敵だが、先取点を奪ってリードを保ちながら追加点を狙う展開に持ち込みたい。キャプテンの吉平は「目の前の試合に勝ちたいという気持ちの強さが2連勝につながった。今節も同じ気持ちで、自分たちを信じて戦う」と話した。
安達監督は「J2を戦うにふさわしいだけの力がついてきた。だからこそ残留の可能性を最終戦までつなげたのだと思っている」。ロングボールを多用して空中戦が得意な秋田に対し、目指してきたパスをつなぐスタイルで真っ向勝負を挑む構えだ。残留は自力で決められないが、勝てば今季初の3連勝になる。99年創設のJ2において10位以下の下位がシーズンを3連勝で締めくくったケースは過去3例しかない。苦戦の中でも歩みを止めなかった証として、“偉業”をクラブ史に刻めるか。
シーズン最終戦に大一番を迎えるのはこれで3年連続。一昨年はJ2昇格を懸けてJ3の最終節を戦い、後半アディショナルタイムに決勝点を挙げて勝ったものの得失点差で届かなかった。昨年はJ2昇格プレーオフ決勝の後半アディショナルタイムに同点に追いつき、昇格をつかんでいる。これらを経験した選手が数多く残っているのは心強い。神山は「ヒリヒリするような緊張感は経験済み。自分たちは勝つしかなく、失うものはない」、田川は「最高の経験が積めている。責任感をもって臨み、残留を勝ち取りたい」と話している。(文・赤壁 逸朗)
■秋田
カギは“気持ち”。命がけの相手を上回る熱量を
秋田は前節、ホーム最終戦で仙台と対戦し、意地と意地がぶつかり合う激闘の末にスコアレスドロー決着。目下の課題の得点力不足を露呈したものの、GK山田を中心に秋田らしい粘り強い守備を発揮。数カ月ぶりに先発に抜擢された若手DFの畑橋と尾崎がアグレッシブなプレーでアピールし、さらに観客動員の面でも13,172人が来場してクラブ史上最多動員数を達成した。
今季はトップ6入りを目指して始動したが、攻守のバランスが崩れて失点がかさみ、一時は降格圏に沈んだ。しかし、前半戦は2回だったクリーンシートが後半戦は7回に増えるなど立て直しに成功。これらのポジティブな要因を来季につなげるためにも有終の美を飾りたい。
最終節で秋田は富山のホームに乗り込む。この一戦のカギを握るのは「気持ち」だろう。というのも、J2残留のために勝利が絶対条件の富山が大観衆とともに待ち受けているからだ。
18年と19年に富山でプレーした才藤にとっては古巣戦。しかもその2年間の大半は、現在富山を率いる安達監督が指揮を執っていた。才藤はかつてのホームでの一戦に向け「富山は戦術うんぬんじゃなく、強い気持ちで挑んでくると思う。それを僕たちが食らわないように、その上の圧力をもって戦いたい」と引き締める。
命がけの相手を上回る熱量で試合を進めなければならない。この状況でチームに求められるのは、日常から大切にしてきた「入りの入りからフルスロットル」(吉田監督)の秋田のサッカーを出すことだ。いつもどおりピッチ内ウォーミングアップで声を出し、相手の状況に合わせず、勢いを受けず、キックオフから相手陣地に押し寄せたい。(文・竹内 松裕)