深井のラストダンス。札幌が3発快勝で花道を飾る
他会場ではJ1昇格さらにはJ1昇格プレーオフ進出をかけた緊迫した試合がいくつも行われ、12位の札幌と20位の愛媛が対戦するこのカードへの全国的な注目度はさほど高くなかったかもしれない。しかしながら、札幌にとっては幾度となく膝の大ケガから復活してきた“不屈の男”・深井の現役ラストゲームとなり、愛媛にとってもJ3降格が決まってしまった中でも、最後に力を振り絞ってプライドを示さなければいけない試合となった。その意味では、昇格に関わる試合ではないものの、両チームにとって極めて意味の大きな90分間だったと言える。
序盤に主導権を握ったのは愛媛。テンポのいいパスワークで全体を前進させると、札幌のプレスをうまく外しながら好機を生み出していった。惜しむらくはアタッキングサードでの精度が不足した部分だが、全体的には悪くない戦いぶりだった。一方で札幌は先発に名を連ねた深井の奮闘が光ったものの、全体的にはどこか受けに回った印象は否めなかった。
その中でラッキーな形からホームチームがスコアを動かす。25分、左サイドからのロングパスを近藤が頭で折り返すと、これがそのままゴールマウスに吸い込まれて札幌が先制点を挙げた。そして得点を得たことによってリズムをつかんだのか、ここからの時間は札幌が好機を増やしていった。そして48分には左CKから家泉がドンピシャで豪快にヘディングシュートを叩き込み、2点差とした。
58分に深井が交代で退く際には両チームの選手が花道を作って背番号8を拍手で送り出した。その光景はあまりにも素晴らしく、そして2点差を追う立場ながらも札幌とともにその演出を作り出した愛媛というチームのスポーツマンとしての心意気も強くたたえたい。
78分にもマリオ・セルジオのゴールで加点した札幌が最終的に3-0で快勝。最終節、そして深井のラストマッチを見事に勝利で飾った。(文・斉藤 宏則)