■FC東京
安定感の先に求められる“勝ち切る力”
5試合負けなし。シーズン終盤に差し掛かってようやく芽生え始めた安定感を携え、FC東京はホーム最終戦とへ挑む。前節・神戸戦では、ここ数試合で積み上げてきた強度の高い守備を披露して全員で守り抜き、アウェイで勝点1を獲得。ただし、どれほど堅実な守備を続けていても、勝利を手繰り寄せるためにはゴールという結果が必要になる。そのことを最も強く自覚しているのが、キャプテンの小泉だ。彼は神戸戦を振り返りつつ、現在地を冷静に見つめていた。「最低限の結果は得られたけど、ああいうゲームを勝ち切る力が必要。意図的にチャンスの回数を増やさないといけないし、その積み重ねが順位に表れていると思う」。
そして、最終節の相手は小泉にとって特別な存在である新潟。プロキャリアをスタートさせたクラブへの思いを彼は真っすぐな言葉で語る。「何も知らない18歳の自分に、サッカー選手とは何かを教えてくれたクラブ。感謝しかない。サポーターも当時の人たちがきっと残っている。まだ頑張っているぞ、という姿を見せたい」。
これが初の古巣対決ではないため、過剰に意識するつもりはない。ただ、深い感謝と敬意がプレーの芯を強くする。最終節で彼に求められるのは攻撃参加。小泉自身もその役割をはっきりと理解している。「得点に関わることは求められる。意識してプレーで示したい」。
積み上げてきた守備の強度、前向きな攻撃姿勢、そして古巣に向けた静かな闘志。それらすべてが融合したとき、存在感は一段と際立つはず。
最終戦で示すべきは、 “勝ち切る力”。その先にしか、来季への確かな希望は生まれない。(文・匂坂 俊之)
■新潟
恩返しのためにも。ここでトンネルを抜け出す
来季から、最低でも1年半はJ2で過ごすことになる新潟。J1での締めのゲームが今節となる。相手は、昨季まで3年に渡り新潟で指揮を執った松橋監督率いるFC東京。今季のJ1第14節で対戦した際は2-3で敗戦。そこで18位に順位を落として以降、降格圏に低迷し続けることとなった。因縁の対決を前に、今季限りで9年間過ごした新潟を去る主将の堀米は「いまはリキさん(松橋監督)がどうということも言っていられない。ただただ、今季のうちに1勝を挙げたい」と、未勝利のトンネルを抜け出すことに意識を向ける。堀米自身、昨季から今季にかけてホームでの未勝利が続き、J1第18節・湘南戦で8カ月ぶりに勝利を挙げるまでに苦しんだ体験がある。その試合で決勝点を決めた小見(柏)は試合後のフラッシュインタビューで嗚咽し、いかに重圧がかかっていたかを物語っていた。前節・柏戦に敗れたことで、18試合未勝利という、クラブワースト記録が刻まれた。「これだけ勝ちなしが続くと、来季も『何戦勝ちなし』と言われ続ける。ここで1回断ち切りたい」(堀米)。来季、新潟で戦う仲間たちのためにも意地を見せるつもりだ。それは、今季苦しい中でもずっと応援を続けてくれた新潟サポーターへの、最後の恩返しでもある。今節もアウェイのゴール裏をオレンジに染めて応援してくれるであろう、12番目の選手たちに報いたい。
注目選手は、ホーム最終戦となった柏戦で一矢報いるゴールを決めた笠井。「ホームで勝って送り出すのが一番だったけど、勝てなかった。勝利に結びつくゴールやアシストを決めたい」。退団する選手たちを笑顔で送り出すために、前回対戦時に続き、FC東京からゴールを奪う。(文・野本 桂子)