■京都
目指すは3位締めと、エリアスのクラブ新記録
前節の勝利でクラブ史上最高順位(02年の5位)以上になることは確定したが「3位と4位では全然違う」(米本)と、チームの目線は上を向き続けている。そこに立ちふさがるのは難敵・神戸。昨年の天皇杯準決勝でファイナルへの道を絶たれ、今季第3節(1△1)では90+11分にゴールをこじ開けられて勝利を奪われた。最終戦は、今度こそ神戸を倒し、3位を確定させるための戦いだ。
ポイントは、相手の強力な攻撃陣をどう抑えるか。DF陣を統率する鈴木は「神戸はシンプルにFWを起点に攻めてくる。まず、そこで負けないこと。粘り強く戦えれば必ず勝機はある」と話す。前節は押し込まれた中で、クロッサーへのプレスや最終ラインの細かな上げ下げなど、第35節・鹿島戦の教訓を生かした守備ができた。ここは今節も問われる部分であり、継続したい。その上で、攻撃において強力FWを生かしていく。
注目選手はラファエル・エリアス。得点王争いで3位につける古都のストライカーは、首位のレオ・セアラとは2ゴール差。2位のラファエル・ハットンも含め「彼らにも得点王を取る権利がある」と敬意を払うが、1点でも取れば三浦知良が00年に挙げたシーズン最多得点(17ゴール)を更新することとなり、周囲の期待はふくらむ。終盤戦の負傷離脱から前節で先発復帰を果たして決勝点を挙げるなど、3週間の中断期間でコンディションはベストに近づいている。神戸の守備を打ち破り「京都のいろんなレコード(記録)を自分の名前で塗り替えていきたい」という言葉を実践する覚悟だ。
チームとしても、個人としても、舞台は整った。サンガスタジアムに駆けつけるサポーターとともに戦い、記録と記憶に残るシーズンの最後を飾る。(文・雨堤 俊祐)
■神戸
吉田監督のリーグ最終戦。集大成を披露し上回る
前節の試合終了後に今季限りでの退任を表明した吉田監督。自身3度目となった神戸指揮官としての時間は、クラブの輝かしい足跡だった。
火中の栗を拾い、低迷するチームを立て直した22年以降、“競争と共存”の原則の下に、攻守ともアグレッシブに戦い、崩れない粘り強さを植えつけてきた。確立された“神戸らしさ”はクラブ史上最高の成果を出し、同時にダイナミズムなどその魅力度でも最上位のサッカーを見せてきた。指揮官と“トモニ”戦う公式戦は残すところ2つ。「ブレずに自分のサッカーをする」と誓う指揮官。全員の力で挑む2試合になるだろう。今節の相手は神戸同様に高強度を持ち味とする京都だが、同じ持ち味の相手との真っ向勝負で堂々と上回り、神戸らしく90分を戦い切れるか。その先には間違いなくサポーターと歓喜に酔う時間が待っている。
今季の主将を務めてきた山川に「指揮官から学んだものは」と問うと「本当にたくさんある」と感謝を胸にこう答えた。「細かい戦術、個人戦術の部分もたくさん教えてもらったけど、やっぱり一番は『やるべきことをやる』ということ」。
やるべきことをやる─。これは吉田監督や選手たちから繰り返し発信されてきた神戸の標語のようなものだ。それは当たり前のことかもしれないが、スキを作らず、アラートで居続けることは簡単なことではない。選手個々の状態やピッチの現象は刻一刻と変わるからだ。それでも、あきらめずに向き合い続けたから栄光をつかむことができた。
「一戦必勝」「目の前の試合の勝利」「毎試合が決勝戦」。いよいよ迎えるリーグ戦の最終戦。歓喜も悲嘆も飲み込みながら本当に強くなった吉田ヴィッセルが、その集大成を披露する。(文・小野 慶太)