まさに集大成の躍動圧倒劇。鹿島、9年ぶりとなるJ1王者
勝てば優勝が決まる大一番で鹿島が躍動した。13試合ぶりに先発した荒木が「今年1年間やってきて、それをすべてぶつけよう」とピッチに入れば、全試合フル出場を続けてきた植田も「控えには素晴らしい選手がたくさんいる。自分たちのスタミナを気にするより、最初から全力で飛ばしていくことを意識した」と試合開始からパワフルなヘディングで横浜FMの攻撃をはじき返す。それを満員に膨れ上がった鹿島サポーターが力強くサポート。はじいたボールを知念や三竿が回収し、間で受ける荒木を起点に、相手を圧倒する入りを見せた。
先制点は知念の鋭い出足からだった。相手に先んじてボールをつつき荒木に渡すと、荒木は松村優太を走らせる。折り返しに反応した荒木のシュートは失敗したものの、その荒木が素早くゴール前に折り返すと、レオ・セアラが右足を合わせて先制。20分という早い時間帯だった。その後も圧倒し続け、前半は横浜FMをシュート0本に抑え込んだ。
なかなか追加点を奪えない中、チャンスはひょんなことから転がり込む。57分、鈴木優磨のサイドチェンジが相手に渡ったところから鋭い切り替えで再奪取。再び松村優太を走らせると、松村の折り返しにセアラが頭で合わせて追加点。大一番で2点を奪ったストライカーは、「1点目も2点目も、彼のストロングポイントから。スピードを生かしたところから自分にボールを届けてくれた」と松村への感謝を忘れなかった。
押し込まれ続ける横浜FMは、90分にこの試合1本目のシュート。アディショナルタイムには角田のサイドチェンジを受けた途中出場の天野が、技ありのループシュートを決めて1点を返す。ただ反撃もそこまで。守備を固めた鹿島がそのまま時間を使い切り、9年ぶりとなるJ1王者に輝いた。
最後の大一番で今季一のパフォーマンス。沸き立つスタンド。ピッチ上の歓喜の渦。涙と笑顔。植田の「鹿島が一番だ」という声が夜空に響いた。(文・田中 滋)