1stステージ優勝をあと一歩のところで逃した悔しさがバネとなったことは間違いないが、この結果はこれまで川崎Fが継続して取り組み続け、積み重ね続けてきたものがあったからこそ得られた。
中村はこの試合の展開を「2点が早過ぎた」と振り返った。21分までに2点のリードを奪ったことでゲームの進め方が難しくなってしまったのは事実だ。ただ、21分間に取った二つのゴールは「動き出しとパスの質とすべてが完璧」と小林が振り返るように、練習時から一つのパスや一つのトラップ、動き出す位置という細かなところの“質”にこだわり続けてきたからこそ生まれたもの。戦前、チームの好調の要因を「練習の段階でみんなが強い気持ち、高い志で取り組んでいる」からとエドゥアルド・ネットは語っていた。「これでよし」とはせずにプレーの細部を突き詰めることによって、相手のことを考え過ぎることなく、自分たちが良いプレーをすることに注力することができている。それゆえ、いかなる相手、どのような状況に対してもブレずに自分たちのサッカーを展開することができる。
ただ、課題や改善点はそれでも毎試合生まれる。今節で言えば、2点をリードしたあとに相手にボールを保持される時間帯が増えた。「2点を取ったあと、こっちのイージーなパスミスが多かった」と小林は険しい表情で語り、「相手を自陣にはめ込むことを意図的に何回もできたかと言われると、そうではない」と中村も続ける。
チームとして出た悪い部分も直視し、勝利という事実でなおざりにしない。それも、まだこのチームが何も成し遂げていないからこその向上心だろう。あと一歩で優勝を逃した1stステージ。その結果はより一層彼らを強く、たくましくさせている。(竹中 玲央奈)…