[横浜FM]コラム/「いっぱい『25』がいると思う。自分の応援だと思ってやりたい」藤本淳吾

文：藤井雅彦


いっぱい『25』がいると思う。自分の応援だと思ってやりたい

　藤本が清水から名古屋へ籍を移した2010年のオフは、横浜FMも獲得競争に名乗りを上げていた。

　だが当時は、毎年のように大枚をはたいて大型補強を敢行し、初のリーグタイトルを獲得した直後で勢いに乗る名古屋に敗れた。彼が自身のステップアップのために描いた道筋に、ジュニアユースまでを過ごした古巣・横浜FMはなかった。

　その選手が14シーズンからチームに加わる。クラブとしては4年ぶりのラブコールが実った格好だ。決断の理由は至ってシンプルだった。

「グランパスの人にとっては裏切った格好になったかもしれないけど、根本的な理由はマリノスでサッカーがしたかったから」。再来月の3月に区切りの30歳を迎える男は、あくまで淡々とした様子で話した。

　期待値の高さは背番号に表れている。横浜FMにとって『25』は特別な番号だ。言わずもがな、昨季まで中村が着けていた背番号で、サポーターの多くが25番のユニフォームを購入している。それが今季から中村が背番号10を背負うことになり、藤本が空いた25番を与えられた・・・