悔しい現実を突き付けられたブラジルW杯。しかし日本にはブラジルの地を踏んだ選手以外にも、大きな可能性を秘めた選手たちが潜んでいる。第4回となる今回は攻守で高い能力を求められるSB。豊かな才能を持ち、ちょっと癖のある“面白い”選手たちをピックアップした。
◆“コンバート組”の伸びシロにも期待
内田篤人の代表引退がささやかれているが、このポジションに関しては引き続きブラジルW杯に選ばれたメンバー(長友佑都、酒井宏樹、酒井高徳)を中心にポジション争いが繰り広げられるだろう。
ブラジルW杯で出番のなかった酒井宏、酒井高に関しても、所属クラブで出場機会を得ており、4年後の成長が楽しみな存在だ。18年までレベルの高い争いが繰り広げられそうだ。
ただ、このポジションに課題がないかと言えばそうではない。18年までにまず探したいのが、左利きの左SB。これまで日本は三都主アレサンドロ以降、駒野友一、加地亮、阿部勇樹、長友など左SBに右利きの選手を使ってきた。
そこには豊富な右SBのタレントを使いたいという意図もあったが、絶対的な左利きの左SBが出てこなかったという事実がある。今回、ブラジルW杯前に大久保嘉人が長友にクロスに関して注文を付けたというが、右利きの左SBではやはりクロスの質などで限界がある。太田宏介、丸橋祐介など左利きの左SBには4年後に向けて、奮起してもらいたい。
またSBというポジションはコンバートされて、その才能を開花させる選手も少なくない。内田や長友ももともとはSBではない(内田は高校3年生まで攻撃的なMFで、長友は高校時代までボランチだった)。それだけに米倉恒貴や今井智基など“コンバート組”にも期待したい(米倉は千葉に所属していた昨季、今井は大学3年次の11年から)。彼らはSBでのプレーを始めたばかり。伸びシロを残す。18年までにどんな成長を遂げるのか楽しみだ。
DF 太田 宏介(FC東京)
1987年7月23日生まれ 178cm/78kg
芽生えた嫉妬、徐々に膨らむ自信
「正直、嫉妬しました」
太田はW杯で戦う日本代表の面々をTVで眺めながら、そう感じていたという。「あれだけ日本が盛り上がる大会で、サッカー知らない人もみんな興味を持つ。だからそのピッチに立てる自分になりたい。僕の性格であれば、そう思うのは当然なんです」。先日、本紙に掲載されたインタビューで、太田はあらためて本音を語ってくれた。彼が代表入りを熱望するわけ、それは徐々に膨れ上がってきた自信にある。
現在、国内では左利きのSB自体が減少傾向にある。その中でも太田は、リーグ全体を見渡しても決して小さくない存在感を放っている…