Match 試合速報

試合一覧

J1リーグ 第20節
8/16(土) 18:00 @ 埼玉

浦和
1
1 前半 0
0 後半 0
試合終了
0
広島

Column 試合前コラム

「佐藤寿人」の名がメンバー表になかった理由

2014/8/15 11:00 7

 第19節の鳥栖戦。「佐藤寿人」の名がメンバー表に連なっていなかった。その理由は、第18節・鹿島戦でハーフタイムに途中交代となり、不満を露わにしたことで翌週の練習を別メニューで調整することになったからだった。

 佐藤がリーグ戦を欠場したのは11年の開幕戦以来のことだ。このときの欠場理由はインフルエンザ。負傷、病気、出場停止、代表選出以外の理由でリーグ戦を欠場したのは、広島移籍初年度である05年以来のことになる。「佐藤の欠場」は広島というクラブにおいて大きな出来事だが、森保監督の判断は明確で厳格だった。先週は「コンディション不良」と語って明言を避けてきた指揮官は13日、こう語った。

「ウチは資金力のあるビッグクラブではないし、広島という街を背負ってチーム一丸となって戦うスタイルを貫いていかないといけない。それはずっと選手に働きかけていくし、ダメな場合はチームから外れてもらう。ただそれだけのこと。寿人の残してきた実績は本当に偉大で、僕もリスペクトしている。選手として一緒にプレーした仲間であり、いまも広島のサッカーをともに作り上げていく仲間だと思っている。これからも良い結果を得られるようにチームの一員としてやっていってもらいたい」

 10年間、佐藤は常にチームの先頭を走ってクラブを引っ張り続けてきた。広島に対する思いは強く、もちろん自負もプライドもある。「90分出て点を取る」ための準備を怠らず、「チームを勝たせる」責任を背負って戦ってきた。この強い思いが今回は利己的な形で表れる格好になったが、強い責任感を持ってピッチに立ち続けてきたからこそ、佐藤はどんな指揮官からも信頼を置かれ、ゴールという結果を出し続けてチームを導いてきたのである。

 それがいま、ルーキー・皆川佑介が日の出の勢いで台頭しようとしており、チーム内における立ち位置が変わろうとしている。鹿島戦の途中交代はその兆候と捉えていいだろう。もっとも、世代交代はサッカー界の“摂理”であり、ストライカーの世界はより厳しい。「FWだから簡単」とも、「FWだから難しい」とも話す佐藤は、誰よりそのことを分かっている。

 13日にチームに合流した佐藤は、全体練習を終えると松本良一フィジカルコーチと汗を流していた。プロフェッショナルであり続ける姿勢に変化はないが、クラブハウスに引き上げる前に「少し肩の力を抜こうと思う」と語った。

 その表情は柔らかく、佐藤が広島において第二のキャリアを歩む段階に来ていることを感じさせたが、彼は当然、ピッチ上で懸命に抗うだろう。まだ32歳。老け込む年でもなければ、ゴールへの欲求が衰えているわけでもない。

「45分かもしれないし、60分かもしれない。15分、10分かもしれない。それは(監督の)判断。点を取ることに集中する」と話し、佐藤は埼スタへ向かう。(寺田 弘幸)

関連カテゴリ

EG 番記者取材速報

League リーグ・大会