5年目の躍動。神戸の期待を背負い続けて
バイタルエリアで前を向けば、森岡亮太は造作もなく決定的なスルーパスを狙う。敵にとってイヤな、味方にとって受けやすい強弱や緩急を込めた優しいパスだ。今節もこれまでと同じように、運動量豊富にピッチを駆け、序盤から精力的にゴールに迫った。ただ、繰り出す決定的なラストパスは、歓声を呼び起こしたその刹那、多くが溜め息に変わった。
昨季のJ2、今季のJ1で衝撃を届けた長短のスルーパスは数知れない。ただ、試合後の森岡には、勝敗に関係なく、自戒する姿が目立つ。「もっと精度を高めないといけない」。神戸のショートパスを主体とするサッカーは、多くの選手たちによる技術と知恵の共演だ。ラストパスが決まらなければ、それは集体成に導かれない。神戸の“質”をけん引する稀代のパサーは、足りなかったものを受け止めて、進化の糧にし続ける。
彼が今季、目指しているのは…