ザックジャパン不動のレギュラー二人が、ポジションを争うことになる―。そう聞くだけでも、あらためてチームは変わったのだと感じさせられる。
ハビエル・アギーレ監督が選択する[4-3-3]にトップ下のポジションはない。「トップ下は自分の家みたいに慣れ親しんだポジション」。以前そう語っていたのは本田圭佑。新システム採用は彼にとって新たなポジションでの挑戦を意味する。
ただし、まったく不慣れな場所でもない。インザーギ新監督が就任したミランもまた、今季は[4-3-3]が基本形。そこで本田は一貫して3トップの右サイドで起用されている。サイドから中央やゴール前にカットインして攻めに変化を付ける役割を与えられ、そして本田はプレシーズンマッチでゴールを連発。さらに先週末のセリエA開幕戦でもカウンターから右足でゴールネットを揺らした。
新たな代表チームの戦いを前に、「これまでとは違う自分を徐々に見せないといけない」と話す。トップ下からパスや連係で味方を操るプレーではなく、ミランでの数試合で見せているような直線的にゴールへ向かうプレー。3トップの一角に入るとなれば、当然後者のようなスタイルは不可欠となる。
一方、この男も黙ってはいない。ザックジャパンでは右のサイドハーフでプレーしていた岡崎慎司。W杯後は「今後はストライカーにこだわりたい」と話していたが、アギーレジャパンでもまずは右FWに入ることが濃厚だ。「イチからの争い。3トップにフィットする選手もいるし、その中で自分も勝っていかないといけない」。今後も少しゴールから離れた場所を起点にしつつも、いかに得点シーンに顔を出していけるかがカギを握る。マインツでは不動のストライカーも、「ゼロからのスタートなので」と、新たな競争に意欲的だ。
常に同時にピッチで並んでいた両雄が、一つの席を争う。し烈な競争原理が、いきなり働こうとしている。(西川 結城)