時間がたてども、定まらなかった戦術
降格圏に沈む現状を鑑みれば、大熊清前監督の解任は驚くべきニュースではない。練習や試合の内容も悪化の一途をたどっていただけに、遅過ぎる決断だったと言っても差し支えない。
元をたどれば、開幕前のキャンプを終えた段階から「これといった戦術がない」という声が選手たちから聞こえてきていた。それでも試合ごとに課題をあぶり出し、修正しながらチームを形作ることは可能だったはずだ。しかし、細部を詰めるための戦術練習はほとんどなく、狙いもメンバーもシステムもコロコロと変わる紅白戦の繰り返し。いつまで経ってもチームは前に進まなかった。約1カ月半の中断期間には前線からのプレスと“裏狙い”を軸として練習を重ね、ようやく「チームとして『こういうふうにやっていこう』というのはかなり明確になってきた」(渡邉)。だが、リーグ再開初戦である第15節・広島戦の前半で0-3とされると、早くもこの戦い方を放棄。またしても迷走が始まり、指揮官の信頼は一気に崩れていった。
選手選考の過程にも問題があった…