現役ラストゲームは、プロデビューを果たしたレベスタでの古巣戦に
8日の紅白戦では、折り重なったビブスの中から11番を探し出して、愛おしそうに着けた。ピッチの上でボールを追う表情は、いくぶんスッキリしたようにも見える。熊本は7日、藤本主税の今季限りでの現役引退を発表。決断に至った理由や背景については、近く行われる記者会見で自身の口から話すという。2000~02年までの3シーズン、広島で選手としてともにプレーした加藤竜二GKコーチは、藤本をこう評する。「若いころはやんちゃ坊主だったけど、経験を重ねて味が出てきたよね」。そして続けた。「でも、サッカー小僧だっていうところは少しも変わってない」。熊本に加入したのは12年。当時の高木琢也監督(現・長崎)から始動直後に主将に指名されると、その豊富な経験と確かな技術、そして底抜けの明るさでチームを引っ張った。揺るぎないサッカー観は若い選手たちの道を照らす光となり、ピッチでたけだけしく吠える姿は精神的な支えとなった。それはいまも同じだ。
忘れられないのは、鳥取を迎えた昨シーズン開幕戦で見せた、見事なオーバーヘッドでのゴール。相手DFのクリアをコントロールして浮かせ、大きくない体で宙を舞った…