一瞬の出来事だった。佐藤健のパスを受けると、寄せてきた大分のDF土岐田をいなすように反転し、左足を振り抜く。次の刹那には、強烈な勢いのボールはGKすらはじいて、ゴールネットを揺らしていた。
「つぶされる場面がすごく多くて、チャンスもなかった。でも絶対、最後に一つ来ると確信してプレーしていた。ああいう場面を作れて、気持ちを込めて打ったら入った」
殊勝の森本はそう振り返る。自ら認めるように、この日の森本はなかなか前線で起点を作らせてもらえず、シュートも前後半を通じて2本のみ。得点を挙げる90分までは、決して満足できる出来ではなかった。
ただ、それでも最後のチャンスを信じ、それを決め切る力が森本にはある…