残留争い5チームの危険度
優勝争いよりも熾烈を極めていると言えるのが、今季の残留争い。残り4試合となった現時点で、13位の甲府から17位のC大阪まで勝ち点3差と間が詰まっている。12位の名古屋が勝ち点40ということを踏まえれば、残された3つの“残留の椅子”を5クラブで奪い合うことになりそうだ。この特集では、小見氏の解説とともに各番記者に4つのチェックポイントの評価をしてもらいつつ、現在の「5クラブの危険度」を計っていく。最下位・徳島の降格が決まり、J2に降格してしまうのはあと2クラブ。サバイバルから生存するのはどのクラブか。たった1試合で、順位が大きく入れ替わる可能性も秘めているだけに直接対決を多く残す17位のC大阪が、一つのカギを握りそうだ。
◆13位ヴァンフォーレ甲府

山本は、自らを中心に甲府に築いた伝統の良さに胸を張る
プロビンチアの強み
甲府の“エース”を挙げるなら、それはクリスティアーノなのだろう。彼は先発落ちが続いていて、戦力としての貢献度が高いとは言えない。チームは中断明けから合流した阿部拓馬を中心に、“連係で崩す”スタイルに舵を切っている。とはいえ得点力不足は明らかで、その一因はエースの不発だ。
被シュート数が…
◆14位ベガルタ仙台

裏への飛び出しに特長、武藤は今季26試合出場4得点
ウイルソン離脱。武藤に期待
第29節・名古屋戦でウイルソンが左ひざを負傷し、全治3~4週間と診断された。今季は負傷に苦しんでいたとはいえ、過去2年連続13得点のエースであり、10月は上り調子だった。彼の負傷は痛手だ。ただし、2トップの相方である赤嶺は今季リーグ戦8得点と気を吐いており、ここに「裏に抜け出す自分の武器を出し、ゴールのために何度でも挑み続けたい」という武藤もエース候補として名乗りを上げたいところ。柳沢、中原、さらに27日の練習試合・山形戦で調子を上げたハモン・ロペスといった面々も加え、攻撃陣全員が奮起しなければならない。
守備については…
◆15位大宮アルディージャ

前々節を除き、リーグ戦全試合に出場中の家長は救世主となるか
大黒柱・家長は状態維持
不動の中心選手・家長は前々節・横浜FM戦で累積警告により出場停止となった。その試合を2-3で落としてしまったことなどを考えれば、確かに彼の欠場は痛かった。だが、それまでリーグ戦全試合出場を続けていた大黒柱のリフレッシュという意味では、結果的に連戦を避けることになったことは大きい。強靭な肉体を持つ家長とはいえ、蓄積してきた疲労は過小評価できない。結果的に10月はミッドウィークの試合を回避する形になり、良い意味でこれまでどおりの状態を維持している。“守備の固さ”は…
◆16位清水エスパルス

ノヴァコウィッチも特別扱いしない、大榎監督のポリシーは固い
1点勝負に危険な匂い
エースのノヴァコヴィッチは合格点の今季11得点も、大前は6得点、高木俊は3得点とアタッカー陣の得点力は物足りない。長沢の欠場が大きいが、その穴を埋める選手が現れなかった。
守備はウィークポイントの一つに挙げられる。一時期駒不足から3バックにして両翼を下げる5バックにするも、なかなかうまくハマらなかった。その理由は、「守り切ろうと意識が強くなり過ぎる」(大榎監督)ということ。けが人の復帰とともに3バックから4バックに戻し、失点は減りつつあるが、1点勝負となるとまだまだ危険な匂いを残す。
チームを指揮する大榎監督は…
◆17位セレッソ大阪

韓国代表がゴールを守り、守備は一定の安定感
大量失点の心配はないが…
現在、チーム最多得点(7点)のフォルランは内転筋痛のため、復帰と離脱を繰り返している。今後も戦力として計算には入れづらく、大熊監督の戦術とのかみ合わせも良くないため、エースの項目は『△』とせざるを得ない。ただし、8月に合流したカカウがリーグ戦9試合3得点と気を吐き、杉本や南野といった大熊監督のC大阪U-18時代の教え子も一定のキレは維持している。一人で21得点を挙げた昨季の柿谷(現・バーゼル)のような絶対的エースはいなくとも、永井や楠神も含めた総力で、残り4試合を乗り切る。守備については、残留争いの当該5チームの中では甲府に次いで失点は少なく、韓国代表GKのキム・ジンヒョンを中心に大量失点は考えにくい。安定感は保っており、得失点差の争いになれば、俄然、有利になる。
残留争いはおろか、トップチームを率いることも初めての大熊監督にとって…