ヒーローは数多くのTVカメラとマイクに囲まれていた。「めっちゃ緊張した。試合直後のフラッシュインタビューもあったけど、最後は何を言っているか分からなくなって恥ずかしかった」。TV用の取材を受けた後、そう言って照れくさそうに笑った。
前日にG大阪が仙台と引き分けたことで、勝てば8シーズンぶりのリーグ優勝に王手を掛けるシチュエーション。勝負を決めたのは19歳のルーキー、関根だった。前節の鹿島戦では3度目のリーグ戦先発ながら、持ち味を出せぬまま55分に交代。ただ、今回は途中出場で役割は明確だった。「流れとしても積極的にいけば何か起こる状況だったし、そこが自分の良さ」であることを理解していた。
76分にピッチに立つと、守備に回り続ける展開が続いた。そして79分、この試合初めてボールを触ると、ドリブルでしかけてから中央の阿部にパス。そして阿部のシュートをGK榎本がはじくと、誰よりも速くボールに反応して豪快に蹴り込んだ。無我夢中だったのか「シュートを打ったときはあまり覚えていない」ようだが、ドリブルでしかけた瞬間は「チュンくん(李)が斜めに走って阿部さんのところが空いていた」のがハッキリと見えていたという。積極果敢な勝負はもちろん、前を向いてしかけられることも関根の長所だ。
ゴールを決めると…