
8日のサンプドリア戦、本田は右サイドから突破してチャンスを作ったが…
一発のプレーの質を上げる
ミランでの成長作業が、そのまま日本代表にも還元される。それは両チームで同じポジションを任されているからこそ、可能なことでもある。共有できる利点は、ほかのプレーにもある。
「ミランでの[4-3-3]では、今まで自分が感じてきたパス回しとは違う概念のボールの回し方をしている。俺はどちらかというと、バルサ(バルセロナ)みたいなパス回しの感覚を持ってやってきた。選手の距離を近くする。相手が詰めてきてパスコースを消してきても、味方が1m下がったり動いたりすれば、パスを回せるし、ボールを奪われることはない。でもいまのミランは、選手が広がって20~30mのパスをどんどん回していく。オランダサッカーみたいな感じ。だから(アンカーの)デ・ヨング(オランダ代表)なんかは、こういうサッカーに慣れているからバンバン通せる。反対に俺などは慣れていない。サイドや前線でパスを待っていても、DFが縦方向をフタしてきたり前が詰まったりすると、いまのところは後ろ向きにトラップしてどうにかキープしながらボールをつなぐことしかできない。
これは日本人11人のチームだったら、成立しないスタイル。それは個がないから。フィジカルで相手に負けるから。でも今後、日本が世界と戦っていく中で、相手にフタをされて苦しむ状況は絶対出てくる。そうなったときに、自分がこういうプレーに慣れていることで、前で打開していけることも大事。そういう意味でも、自分が“一発”のプレーの質と精度を上げていく作業は必要だと思う」
28歳。選手として、ここからさらにバージョンアップすることは普通に考えれば難しい。それでも本田はトライしようとしている。その挑戦を下支えする思考力と発想力は、衰えることを知らない。
サッカー=人生のウォーミングアップ
本田は変貌している。本人も、その事実を認める。ただ、それだけではない。自分の可能性の大きさを胸に、前に進もうとする信念は、不変である。
今年の春、某ファッション誌が本田の特集を組んだ際、そのインタビューを担当させてもらった。そこで彼は興味深いことを話していた…
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