試合は後半ロスタイムに入っていた。引き分けなら天皇杯に続きタイトルの可能性がもう一つ消えてしまうかもしれない中、カイオの蹴ったボールがゴール前を通過し自分の目の前に流れて来ても、鈴木優磨は慌てなかった。「必ず流れてくる」。ストライカーの本能はそう告げていた。最後までボールをよく見て左足を合わせる。強く振り切るのではなくゴールへのパス。シュートは必死に戻ってきた菅野に当たるも、柔らかい軌道が奏効し、ボールは菅野とともにゴールラインを割った。咆哮する19歳のルーキー。選手やコーチが次々と折り重なっていった。
ゴール前での落ち着きを鈴木優磨に教えたのは…