――この年に初めてJ1昇格プレーオフが導入されました。結果的にはJ2・6位のチームが優勝したわけで、世間的には「失うモノがない一番下のチームが」という風潮でしたが、むしろ逆なのですね。
「『もしこれで負けたら何を言われるか』、『どれだけの責任を負わされるのか』。試合前、選手の中でそういう話をしていたことは、いまも忘れられないですね。失うモノはある。たくさんの方がついている。だからこそ、勝ったときは本当にうれしかったんです。あれは忘れられないなあ…」
――林丈統選手の劇的決勝ゴールは後半、86分でしたね。
「とにかく『入ってくれ、入ってくれ』と…。やっぱりシャーレも、ただのシャーレではないですもんね。もちろん優勝できれば一番いいし、うれしいことなのでしょうけど、逆に“プレーオフ”というのが崖っぷちのトリニータらしいというか。大分は本当に何度もはい上がってきたクラブなので、いろいろな方の思いを背負って掲げましたよ」
――FC東京、大分のナビスコカップ優勝時に立ち会えなかったキャリアを顧みても、初の決勝の舞台でした。
「最初で最後。報われたというか、本当にうれしかったです。苦しんだぶんのうれしさもありましたし、感謝の気持ちもありました。だから…