パスへの美学
――FC東京のお話の際に少し出てきましたが、では宮沢選手が追求してきたモノはやはりパスでしょうか。
「そこだけは追求してやってきましたし、振り返っても、自分は本当にパス一本で生きてきたんじゃないかなと思います。意味のあるパス、そのための間、速さ、相手とのタイミング。そこにはいろいろな要素があると思いますが、やっぱりパスです」
――そう思った理由は何だったのでしょうか。
「自分が生きる道。それに尽きます。身体能力があるわけでもなく、足が速いわけでもなく、体が強いわけでもない。点が取れるわけでもなく、ヘディングが強いわけでもなく、ドリブルが速いわけでもない。どこかで人と違うことをしなければいけない。宮沢正史という人はどういうモノなのかということの追求は、パスで生きていくしかないということです。何を自分の中で出せるか。そう考えたときにパスで極めていくしかない。そういう思いでした」
――影響を受けた方などもいるのでしょうか。
「大学のころからもちょっとは思っていたことですが、確信に変わったのはプロに入ってからです。人と違うことをしないといけない。自分の武器、…