5人目のキッカー、清水の平岡がネットを揺らした瞬間、名古屋の戦いが終わった。残されていた唯一のタイトル、天皇杯。2点差を追い付く激闘の末、最後はPK戦に散った。
天皇杯でJ1と対戦したのはこの準々決勝が初めてだった。いまのチーム力を試せる。「ここからJ1とやれる。本当のカップ戦の戦い」と意気込んでいた西野監督からは、そんなピュアな心意気が感じられた。こんな一コマもあった。3回戦の京都戦。指揮官は試合前から「勝ってレッズとやろう!」と強く訴えていたという。J2軽視の発言ではない。リーグで首位を走る浦和と対戦する意味――。負傷者が続出しチーム作りが難航した時期を越え、やっと真剣勝負に臨むことができていた。それは好サイクルで迎えていたこの清水戦も同じだった。
果たして、この一戦で敗北…