63分。川崎Fの背番号11が、日の丸の青い鎧をまとう戦士としてふさわしい、そして誰もがそのことに納得する、豪快かつ芸術的な一撃でネットを揺らした。「打った瞬間に入ると思った」というボールの軌道は直線的にゴール左上スミへ向かっていく。鳥栖の堅守を支え、この日幾度も自ゴールへの強襲をはじき続けた名手・林も見送るしかないモノだった。
試合前日のシュート練習では的確にコースを狙ってネットを揺らす場面が幾多もあり「けっこう決めることができたので、明日もそれを出せると思う」と優しげな口調だが強い自信を含めて口にしていた。そして見事“有言実行”を果たした。それも、視察に来ていた日本代表の指揮官の目前で。
初めてA代表のユニフォームに袖をとおして2試合を戦い、かつ強国であるブラジルと対戦した中で世界的ストライカーであるネイマールの4得点を目撃した。代表での活動期間は決して長いモノではなかったが、そこで感じたショックは大きかったと語り、決定力の部分が世界との「差」だと痛感した。そして、…