昇格1年目でのタイトル獲得を目指す大阪の雄に、いきなりの逆風が吹き荒れた。ミス絡みとはいえ、相手エースに2点目を許し、35分にして大き過ぎるビハインドを許す展開に??。
清水時代にも指揮官として決勝で涙を呑んだ長谷川監督が「持ってないな。厳しいゲームだなと思った」と振り返ると、エース宇佐美も「あきらめかけた、正直。一瞬、終わったかと思った」。
チームの行く先に暗雲が立ち込めたことを感じ取った瞬間、背番号29のブラジル人ストライカーは、ある覚悟を決めていた。
「まったくネガティブなことは頭をよぎらなかった。まず同点に追い付くことだけを意識した」
広島の森保監督が試合後の会見で「彼のフィジカルは規格外」と評したパワフルな突破や空中戦は、もちろん彼のストロングポイントであるのは間違いないが、パトリック自身は自らの特長をこう定義付けている。
「絶対にあきらめない気持ちが僕の武器」
特に貧困層が多いブラジル北部に生まれ育ったパトリックは…