試合が終わってやや間は空いたが、大半の観客がホーム最終戦セレモニーを待って、その場に踏みとどまっていた。甲府がこの日迎えた相手はFC東京。城福浩監督がクラブスタッフ、指導者として10年以上も籍を置いた古巣である。アウェイサポーターもそれぞれに城福監督への思いを持ち、甲府サポーターと同じく、晩秋の肌寒いスタンドに残っていた。
「360度青赤で埋まったスタジアムで、退任のあいさつができることは神様にいただいた機会」と、城福監督もこの巡り合わせを喜んだ。監督が挨拶を終え「城福甲府!」のコールが甲府のゴール裏から起こると、アウェイ側からも唱和の声が続く。セレモニーは本来、クラブがサポーターへの感謝を伝えるための場である。しかし11月29日の山梨中銀スタジアムでは、それ以上にサポーターが監督への感謝を伝える場になっていた。そして城福浩という男の門出を祝う気持ちは、FC東京サポーターも同じだった。
城福浩が甲府盆地の人になったのは、3年前のことである…