日本代表が思い出すべき、挑戦者としての謙虚さ
経験に頼って得られたモノ
ハビエル・アギーレ監督が最終的に決戦の地に連れて行ったのは、ザックジャパンでもプレーしたお馴染みの選手たちだった。彼らが持つ、実力、経験、安定感。それらをピッチで発揮してもらうことが、アジア杯連覇への最短距離であるという判断だった。
真夏の豪州に集った、経験豊富な日本代表の選手たち。初戦までの準備段階、そしてグループリーグ3試合の間、チームには常に冷静さが存在していた。過去のアジア杯特有の無用なスリルを感じることなく、日本は3連勝を成し遂げた。
「自分たちがきっちり締めないといけないところで締められるというのは経験があるからだと思う。でも、経験を生かし切れたと思うのは、優勝したとき。そこまでは大会の中で常に成長し続けなければいけないと思うし、常に謙虚でいなければいけない」
川島永嗣のこの言葉からは、仲間と自分たちの力への信頼が感じられた。ブラジルW杯を含めたこの約4年間で、選手たちが個人としてチームとして繰り返してきた成功と失敗が、経験という形に姿を変えてアギーレジャパンを支えていた。
ただ、終わってみれば、彼らに頼り過ぎてしまったとも言えた。それは、特にピッチの中で“ある現象”となって表れてしまった。
UAE戦で抱いた既視感
敗れたUAE戦。チームは今大会初めて、先制点を奪われた。集中力の欠如や連戦による運動量の低下が招いた失点。試合序盤からそれまでの激しい攻守の切り替えも鳴りを潜め、攻撃はパスをつないでも中央を固めた相手守備陣のアウトラインを沿うだけで、なかなか突き崩せない。サイドからの攻撃でゴールに迫ったが、肝心のシュートを決め切れない。劣勢になったときに、どんな引き出しがあるのかはそのチームの器を示す。日本はそれを試されていた。
確かに、その後はチャンスを多く作った。だが…