Photo: Atsushi Tokumaru
タイトルへの渇望と自身の成長を懸けて
常に成長を求める水沼宏太の選択は、移籍だった。慣れ親しんだ環境を変えることだった。
決して鳥栖というクラブに不満があったわけではない。クラブが初めてJ1に昇格した12年、栃木から鳥栖にやって来るとレギュラーとして定着。主力として欠かせない地位を築き上げていった。チームワークを大事にする鳥栖において、チームメートとの関係性も良好で、本当に仲の良い集団の中で居心地の良さも感じていた。「僕はサガン鳥栖が大好き」。その言葉に嘘偽りはない。クラブ史に自分の名前を刻むためにも、タイトルへの渇望は誰よりも強かった。すでに移籍は決めていたが、昨年12月26日の天皇杯準々決勝・G大阪戦を1-3で落とすと、人目もはばからずに涙を流した。その姿には、水沼の鳥栖というクラブへの思いがあふれていた。
しかし、環境に不満はなかったが、…