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誰も信じることのなかった夢のようなお伽話
レスターの戴冠が、ついに決まった。1884年に創設されたクラブにとって、初めてのトップリーグ優勝。1軍選手の移籍金総額はリーグ17位で、下から数えたほうが早い“持たざる者”レスターがプレミアリーグの頂点に立った。優勝決定後、国営放送『BBCニュース』のインタビューに応じた女性サポーターは「涙が出ないのが不思議。動揺し過ぎて出ないのかも」とコメント。奇跡の優勝に、その目には次第に涙があふれていった。
前評判は決して高くなかった。開幕前の順位予想で、ほとんどの英紙が“降格候補”に指名。ギリシャ代表監督を解任されたばかりのクラウディオ・ラニエリ氏が新指揮官に就任したが、「ティンカーマン(下手な修理屋)」の異名を持つイタリア人の到来は、前評判を引き上げるきっかけにはならなかった。
ところが、シーズン序盤から快走を続ける。開幕5試合を3勝2分の無敗で乗り切り2位につける。しかし1点を取られたら、2点を取り返すという大味な試合を繰り返し、岡崎慎司も「何で勝ち続けているか分からない」と首を傾げることが多かった。転機の一つになったのは、第10節のクリスタル・パレス戦。この試合で…